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ストライキ
2007 / 03 / 17 ( Sat )

 


私の左耳たぶがストライキを起こした。


1週間前のことである。
あれ以来、私の生活は灰色のペンキを塗った画用紙みたいに
味気なくなった。


なぜか。
理由は簡単だ。
私は左耳たぶが性器と同じくらい、敏感だったからだ。
そう、私の性感帯は左耳たぶだったのだ…この前まで。


 


左耳たぶとの交渉は、一時間以上にも及んだ。


 


「どういうことよ?」


「どうもこうもない!
我々は我々の職場環境を改善するよう
訴えているだけだ!」


どうやら、左耳たぶの神経達を代表して
一つの神経が交渉の場に出てきているようだった。


「いや、だからさ。
それが意味分からないの。
アンタ達の仕事って、何よ?」


「我々は左耳たぶであって左耳たぶでない!
我々には本来、やらなくてはならない事がたくさんあるのだ!
なのにこうして毎晩毎晩嘗め回されていては、仕事にならない!!


どう考えても、こいつ等は左耳たぶだ。


「…いやいや。
だーからさ。さっきから同じこと聞いてるんだけど
アンタ達の仕事って何よ?一体?」


「仕事については言えない。
しかし、今我々の所有者であるアナタには
我々に本来の仕事をさせる、責任があるのだ!」


これ以上コノ話を続けるだけ、無駄だと思った。


「…はいはい。
分かったわよ。どんな仕事かは知らないけど
とにかく、私はアンタ達の邪魔をしているというのね?」


「そうだ」


「でもさ。
アンタ達は左耳たぶであって
つまりは私な訳でしょ?
どんな仕事だか知らないけど、Sexで快楽を伝えるのも
アンタ達の仕事だとはいえない訳?」


「それも確かに仕事ではある。
我々が働くからこそ、アナタは快楽を得ている。
しかし、我々が言いたいのは
いつもいつもその仕事をしているのが我々であるということだ!
たまには右耳たぶに仕事をさせたっていいだろう!!」


「右は感じないのよ」


「それは右の職務怠慢だ!
我々には関係ない!!」


「じゃどうすればいいのよ」


「他の…他の連中に仕事を割り振ればいいじゃないか!
そう、例えば乳首の連中とか。
奴らこそ快楽を伝えることが生業ではないか!!」


生業…だったのか。


「仕方ないじゃない。
私、男が乳首を必死な顔で弄(まさぐ)ってるのを見るの
嫌なんだから。萎えちゃうのよ、何か」


そんなの勝手だ!


どっちがだよ。


「我々への仕事負担が大きいのは
立派な職業差別だ!!


左耳たぶに言われたくない。


「このまま同じような状況が続くようなら
我々はストライキも辞さない覚悟だ!!」


バカらしくなってきた。


「もう好きにすればいいじゃない。
ストライキだろうがなんだろうが
それでアンタ達の気が晴れるなら、すれば?」


「我々は本気だぞ!!」


 


左耳たぶを見くびっていたようだ。
この日以来、私の左耳たぶは全く感じなくなった。
無くして気が付くものがある。
とはよく言ったものだ。


つまらない。
おもしろくない。
生きている心地がしない。
それは大袈裟か。


私は、もう一度左耳たぶと交渉することにした。


 


「ねぇ」


「…」


「ねぇってば、聞こえてるんでしょ?」


「何だ?」


私は前回の交渉で学んでいた。
こいつ等に話し合いを持ちかけたところで
同じ話を繰り返すだけ。
結局解決などしない。


「アンタ達、まだ粘る気?」


「我々の意思は固い」


「左耳たぶの癖に…」


何だと!今のは明らかな差別発言だ!!


こいつ等、どれだけ耳がいいんだ。
…あ、そうか。


「何も言ってないわよ。
それよりも、いつまでもこうしてストライキを続けるなら
私にだって考えがあるわ」


「…」


「明日、ピアスを開けに行く


「な、何だと!!
それは立派な人権侵害だ!!
暴力だ!!専制政治だ!!!


それは違うだろ。


「とにかく、もう予約したから。
明日、開けるから」


その後
左耳たぶは延々と訳の分からぬ、
革命を起こすだの何だのと抗議をしてきた。


私は適当に受け流しながら
そのまま眠ってやった。
いい加減にしろ。
アンタ達は私の所有物で、私なんだぞ。


 


翌朝、私は静かに目覚めた。
つもりだった。


パッチリと目を開き、太陽を拝んだ
つもりだった。


しかし。
何故か目が開かなかった。
いや、目覚めたと意識し始めてから
周りがぼんやりと明るくなったので
目は開いているのかもしれない。


ただ、何かいつもと感覚が違った。


いくら時間が経っても
見慣れた景色が見えなかった。
認識が、できなかった。


そのとき。


私はこれまでに味わったことの無いような
快楽を感じた。
全身が性器にでもなったかのような
とにかく、えもいわれぬ快楽だった。


なんだ、これ?
なんなの、一体?


 


快楽が引いていって
私はふと気が付いた。


そして、
そのことを確かめるべく、呼びかけてみた。
すると、聞き覚えのある声が遠くで聞こえた。


 


その通り。
今日からアナタは我々の所有物だ



え?つまりどういうこと?


メルマガ連動企画第三弾
(メルマガ読者のお題に沿って書いてます)


 


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コメント
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管理人様、貴重なスペースありがとうございました。
by: 典子 * d3xRQPUk * URL * 2007/03/18 * 11:31 [ 編集] | top↑
--初めまして。--

初めまして、こんばんはー。池崎綾です。
左耳たぶのストライキに爆笑してしまい、
思わず書き込んじゃいました笑
最高に面白かったです笑
ではでは(・▽- )ノ”
by: 池崎綾 * E6WQ0Fn2 * URL * 2007/03/19 * 01:50 [ 編集] | top↑
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左耳に支配されるのも満更悪くなさそうな…
by: puriri * - * URL * 2007/03/20 * 15:44 [ 編集] | top↑
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【一発目のコメントがあーゆーのであったお陰で
この記事は見事な完成品になった気がする。ありがとう。
コメントレスはしないけどね、けっ!】

>池崎綾 様
はじめまして☆
このお話で笑って頂けるということは
ボクとツボが近いのかも知れないね。
と思いました。
だから好きです、アナタが。

冗談はさておき(ヲーイ)
こんな管理人のちょっぴり、恐らくきっと
僅かにアダルティーな下ネタブログですが
よろしくお願いします!

コメント不精なのでいつになるか分かりませんが
楽しく拝見させて頂いたので
近々コメントを残させて頂きます。


>ぷりり 様
生きているとは何か。
何が良い生き方なのか。
人間の本質を問う問題作です。

大嘘ですが。
ちなみに
ボクは右耳に支配されたいです。
by: 7番 * - * URL * 2007/03/21 * 02:47 [ 編集] | top↑
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